「カオナシ」には顔はある
千と千尋の神隠しに出てくるカオナシ。顔が無いからカオナシなのだろうけど、本当にそうだろうか。顔が…あるではないか。そしてけっこう表情豊かでもある。たとえあれが仮面だとしても、そこからいろいろな表情を読み取ることができるのであれば、それを顔と呼んで差支えないと思う。
「カオナシ」が本当に持っていないものは、「言葉」ではないだろうか。「ア、ア」と力なく声を発することはできるが、ほとんど意思伝達には及ばない。誰かを飲み込まないと言葉が出ないのだ。
自分もカオナシのような心地になることがある。誰かの文体を借りないと、こんな雑文ブログでさえ書くことができない。ここで名前は出さないが、ブログを再開したのは明らかに某文筆家の文体の影響を受けた結果である(飲み込んだなんてとてもたいそれたことは言えない)。でもみんな案外そんなもんなんだろうか。誰かの文体を「飲み込んで」、それで文章力を身に着けたんだろうか。
と、カオナシは一人夜更けに酒を飲みつつ考えるのである。